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相続は「いつ」「何が」始まるのか本当にご存じですか?

2018.09.26相続について

相続のタイミングによって相続人や相続分が変わることがあります。
それを見落としていませんか。

相続は、人が亡くなった瞬間に発生します。
例えば、親が死亡すれば、その瞬間に、親の財産は法律で定められた相続人(財産を引き継ぐ権利のある人)に相続されます。
ごく当たり前のことですね。

これは、相続人がその人が亡くなったことを知っているとか知らないとかは関係ありません。
死亡届を出した・出していないも関係ありません。
医師から「ご臨終です」と言われた瞬間、あるいは「死亡した」と診断された時間に、そのタイミングで相続は発生するのです。
多くの方がご存じのことだと思います。

相続のタイミングによって相続人や相続分が変わることがあるってどういうこと?

例えば、「子どものいない夫婦」を例にすると分かりやすいでしょう。
この夫婦にはそれぞれに兄弟姉妹がいるものとします。

もし、夫が先に亡くなったとすると、法律で定められた割合でいえば、夫の財産は「妻に4分の3」「夫の兄弟姉妹に4分の1」が相続されます。
その後、妻が亡くなると、妻の財産は全て妻の兄弟姉妹へと相続されます。

逆のパターンを考えます。
妻が先に亡くなったとすると、法律で定められた割合でいえば、妻の財産は「夫に4分の3」「妻の兄弟姉妹に4分の1」が相続されます。
その後、夫が亡くなると、夫の財産は全て夫の兄弟姉妹へと相続されます。

いかがでしょうか。
お気づきになったでしょうか。
夫が亡くなるのが先か、妻が亡くなるのが先かによって、相続人が変わります。
つまり、この夫婦が2人とも亡くなった後、夫が亡くなるのが先か、妻が亡くなるのが先かによって、それぞれの兄弟姉妹の相続分が違ってくるのです。

円満な相続のためには、こうした「相続のタイミング」も意識しておいた方が良いでしょう。

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相続によって、亡くなった方の財産は、相続人全員の「共有」になります。
それを見落としていませんか。

人が亡くなると、その瞬間に亡くなった方の財産は、相続人に相続が開始されます。
この時、相続人が複数人いる場合には、相続人全員による財産の「共有状態」となります。

「共有」というのは、数人が1つのものを一緒に所有している状態のことです。
例えば、父親が所有している土地や建物は、父親が医師から「ご臨終です」と言われて死亡した瞬間に、妻や子どもなどの複数の相続人の所有物となるのです。
不動産登記の所有者を変更したとか変更していないとかは関係ありません。

「共有」となるのは土地や建物ばかりではありません。
自動車、預貯金、株式、借金など、一部の例外はありますが、ありとあらゆる財産が相続人全員の「共有物」となるのです。

財産が「共有」になると、どういうことが起こる?

財産が「共有」になると、権利関係が複雑になります。
そのため、様々な不都合なことが起きます。

例えば、親が亡くなって相続した土地や建物が「相続人全員の共有」となれば、その土地を売却したり、建物を取り壊したりするためには相続人全員の合意が必要になります。
親の預貯金も、相続人全員が合意しないと、いつまで経っても銀行に口座を凍結されたままとなり、名義変更をしたり解約したりすることができません。

このように、相続というのは人の死亡によって、当然に発生します。
そして、その相続の瞬間に、一部の例外を除いたありとあらゆる財産が「共有」という複雑な権利関係になってしまいます。

この状態を解消するのが、遺言書であり、遺産分割協議書です。
財産が共有のままですと、その時は良くても、後々にトラブルを招くことになります。

相続が「いつ」始まるのか。
相続によって「何」が起きるのか。
知っているようで実は見落としがちなこと。
こんなことを意識してもらえれば、相続に備えて何が必要か、相続が起きたときに何を考えなければいけないかが自ずと見えてくるのではないかと思います。

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