アナタが相続人だと通知が来た。代襲相続人の場合、熟慮期間延長の検討を・・・
2020.06.16|相続について
突然、士業より叔父の相続手続きで貴方が相続人の一人だと通知がきたが、、、
親類が亡くなり,遺産整理業務を代理で行っている士業より自分も相続人の一人だと告げられたが、相続手続きなど経験もなく、そもそも亡くなった親類の財産がマイナスなのかプラスなのか、何が残っているのかもわからない。
そんな場合は、どうすればいいのでしょうか?
相続が発生した場合、被相続人の財産や債務の相続を承認するか、放棄するかを選択することとなります。
この手続きには3カ月以内という期限がありますが、事情によって、相続放棄等の判断が困難となった場合、期限延長の申立てをすることができます。
相続放棄などの手続きの原則や延長措置について、元東京国税局国税専門官のライターが解説します。
「相続放棄」と「限定承認」とは
亡くなった方(被相続人)の相続人は、被相続人が残した財産や債務を相続します。
この時、財産よりも債務の方が多ければ、相続により借金などの負担を背負うことにもなりかねません。
そうした場合に検討したい制度が、「相続放棄」と「限定承認」です。
これらの制度を使うことで、被相続人から過度な借金を引き継ぐ事態を防ぐことができます。
相続放棄をすると、被相続人の財産と債務の一切は引き継がれません。
一方、限定承認の場合は、被相続人の財産は相続しながらも、その財産の範囲内で債務を引き継ぐことができます。
たとえば、被相続人が遺した財産が3,000万円あり、債務が4,000万円あったとしましょう。この場合、相続放棄をすると、引き継ぐ財産も債務もゼロです。
限定承認を選んだ場合は、3,000万円の財産と3,000万円の債務を相続することになります。
熟慮期間の原則は「3カ月」以内
相続放棄や限定承認の手続き期限は、原則として「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3カ月以内」と定められています。
被相続人が亡くなり、自分が相続人となったことを知ったら、3カ月以内に家庭裁判所で相続放棄等の申述という手続きを行う必要があります。
この3カ月を「熟慮期間」と呼びますが、熟慮期間を過ぎると、相続放棄や限定承認を選択できなくなります。この場合、相続人は被相続人の財産と債務の一切を引き継がなくてはなりません。
「コロナウイルスの件で法務省も熟慮期間延長の注意喚起を告知しています」
新型コロナウイルスの影響による熟慮期間延長手続き
法務省ウェブサイトでは、「新型コロナウイルス感染症に関連して,相続放棄等の熟慮期間の延長を希望する方へ」と題し、親族が亡くなったにもかかわらず、新型コロナウイルス感染症の影響により熟慮期間内に相続の承認又は放棄をすることができない場合には、この期間の延長を家庭裁判所に申立てをすることができる旨説明しています。
そして、熟慮期間の延長の申立てをせず、熟慮期間内に相続放棄または限定承認をしなかったときは、被相続人の財産と借金等の債務を全て引き継ぐことになる旨の注意喚起も記載されています。
熟慮期間の延長措置は、従来から設けられている措置ですが、法務省はあらためてコロナウイルス感染症の影響を受けた方に向けて注意喚起を行った形となっています。
延長するには家庭裁判所での手続きが必要
この延長手続きを行うためには、3か月の熟慮期間が終わる前に家庭裁判所に申し立てる必要があります。
たとえば2020年4月1日に自分が相続人となる相続があったことを知ったのであれば、通常は2020年7月1日に熟慮期間が終わります。
しかし7月1日が来る前に家庭裁判所に熟慮期間の延長の申立てをすれば、さらに検討の猶予が与えられることとなります。
熟慮期間の延長の申立て手続きの窓口となるのは、被相続人の最後の住所を管轄する家庭裁判所です。
手続きの費用としては、収入印紙800円分(相続人1人につき)と連絡用の郵便切手がかかります。
必要となる書類もありますので、詳しくは裁判所のホームページを確認してください。